ここで言う「SmallBiz経営学」は、
難しい学問のことではありません。

SmallBizの経営を

  • どう見るか
  • どう考えるか
  • どう動くか

という「考え方・フレーム」の総称です。
オーナー社長の皆さまが、会社の成長軌道を設計しやすくするための“物の見方セット”とお考えください。

1. SmallBiz経営学とは何か

SmallBiz経営学は、次の3つを揃えるための考え方の体系です。

  • 状況を正しく見る(構造の整理)
  • 迷わず判断する(考え方の軸をそろえる)
  • 行動を止めない(続けられる形に落とす)

オーナー社長にとって、日々の判断はすべて「現場と自分」に跳ね返ります。
その一つひとつを、行き当たりばったりではなく、

「うちの会社は、こういう構造だから、こう判断する」

と説明できるようにするための枠組みが、SmallBiz経営学です。

難しい理論を理解していただく必要はありません。
大事なのは、

  • 自社の状況をどう切り取るか
  • どの観点から優先順位をつけるか

という「問いの立て方」を揃えることです。

2. SmallBizをどう見るか:5つの構造視点

SmallBizを正しく扱うためには、まず「どういう前提で動いている会社なのか」を把握する必要があります。

SmallBiz経営学では、特に次のような視点から会社の構造を見ます。

  1. 人・お金・時間には、常に限りがある
  2. 一人ひとりの役割が重なり合っている
  3. 顧客・地域・知人とのつながりが事業に直結している
  4. 経営者の価値観や生き方が、事業の方向性に強く影響している
  5. 過去の選択(業種・設備・取引先など)が、今の選択肢を縛っている

これらは、理論的には「SmallBiz存在構造(Structure 5)」というフレームで整理していますが、
ここで押さえていただきたいのは、

「うちの会社は、こういう前提を抱えたうえで経営している」

という自覚です。

この構造が見えてくると、

  • 何が本当の負担になっているのか
  • どこに力を集中すべきか
  • どこから崩れやすいのか

が、少しずつはっきりしてきます。
SmallBiz経営学の出発点は、この「構造を見える化する」ことにあります。

3. 判断のクセを整える:5つのレンズ

同じ状況を見ても、経営者によって判断は分かれます。
その違いを生むのが「レンズ(ものの見方のクセ)」です。

SmallBiz経営学では、経営者の判断に影響を与えやすいレンズとして、次の5つに注目しています。

  1. 心理のレンズ
     ― 不安・期待・過去の経験が、判断をどう動かしているか
  2. 組織のレンズ
     ― 社員の顔ぶれ・チームの関係性が、選択肢をどう変えているか
  3. 顧客・関係性のレンズ
     ― 取引先・紹介・口コミといったつながりが、判断にどう影響しているか
  4. 地域・場所のレンズ
     ― 地域性・立地・業界の慣行が、前提条件になっていないか
  5. 時間・経路のレンズ
     ― 過去の選択やタイミングが、今の決断を縛っていないか

これらは、理論的には「判断レンズモデル(Lens 5)」と呼んでいますが、
実務的には、

「自分は、どのレンズを通して物事を見がちか」

を一度棚卸ししてみるための道具です。

レンズが偏ると、

  • 判断が遅くなる
  • 決断を先送りしがちになる
  • 方針がブレる
  • 優先順位が決まらない

といった症状が出やすくなります。
SmallBiz経営学は、この「判断のクセ」を言葉にし、少しずつ整えていくためのフレームを提供します。


4. 行動を止めないための考え方

構造が見え、判断の軸が揃っても、行動が止まってしまっては意味がありません。
SmallBizにとって重要なのは「大きな計画」ではなく、

  • 小さく始める
  • 反応を見て、すぐに修正する
  • 続けられる形に整える

という行動の設計です。

SmallBiz経営学では、特に次の考え方を重視しています。

  • 新しいことは「最小単位」で試す
  • まずは今ある人・モノ・時間を活かす
  • 実際の反応を見て、やる/やめるを決める
  • 一度きりではなく、続けられる仕組みにする

理論的には「行動デザイン」と呼んでいますが、
実務レベルでは、

「次の1〜2週間で、どこまでなら無理なく動けるか」

を一緒に考えるための視点です。


5. SmallBiz戦略との関係

SmallBiz経営学の「構造・判断・行動」という土台の上に乗ってくるのが、
9つのSmallBiz戦略やHIFIモデル(急成長戦略)です。

戦略そのものが階層の頂点にあるわけではなく、

  • どの構造を踏まえ
  • どんなレンズで判断し
  • どのような行動に落とし込むか

を一貫させるための「実務的な設計指針」として位置づけています。

たとえば、

  • 強みを伸ばしたいとき
  • 業務を整理したいとき
  • スリム化したいとき
  • 顧客との関係を深めたいとき
  • 無理なく広げたいとき

など、それぞれの局面に応じて使うのがSmallBiz戦略です。
詳細は書籍『スモールビジネスの持続的成長戦略』『量的成長戦略』『戦略サファリ』などで扱っています。

6. SmallBiz経営学をどのように使うか

SmallBiz経営学は、「暗記するもの」ではなく、
日々の経営の中で、次のような場面で使っていただくことを想定しています。

  • 日々の意思決定
     → 判断の基準や優先順位を揃える
  • 経営改善・整理
     → 状況を構造的に見て、「どこから手をつけるか」を決める
  • 成長方向の明確化
     → 強み・限界・伸ばし方を整理し、「どこまで伸ばすか」を考える
  • チームへの共有
    → 「なぜ今これをやるのか」「何を大事にしている会社なのか」を説明する
  • コンサルティング・サロンの場
     → SmallBiz同士が、共通の言葉で状況を整理・議論できる土台にする

書籍・診断・サロン・コンサルティングなど、smallbiz.jp の各サービスは、
このSmallBiz経営学の考え方をベースに設計しています。

7. smallbiz.jp と SmallBiz経営学の関係

smallbiz.jp は、SmallBiz経営学を土台にしながらも、
「学ぶ場」というよりは、

会社の成長軌道を設計し、現実的な一歩に落とすための実務プラットフォーム

として運営しています。

これらはすべて、SmallBiz経営学で整理した

構造 → 判断 → 行動 → 戦略

という流れを、現場で使える形にしたものです。

「理論を理解する」ことが目的ではありません。
ご自身の会社の成長軌道を、少しでも描きやすくするための“考え方の土台”として、
必要なところだけをピックアップして使っていただければ十分です。


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